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ディープサウス紀行(アラバマ)

アトランタを後にして、これから先はディープサウス(深南部)の本番です。まずはアラバマ州は州都モンゴメリーへ。アトランタからは高速で2時間程度の近さです。
モンゴメリーの街は、州都とはいってもとても小さく(アメリカじゃ州都は行政機能が中心ですから)、ダウンタウン一角を除いたら、もうすぐに綿花畑と草原が広がっています。

ローザ・パークス博物館等(モンゴメリー)
アメリカ現代史シリーズ第2弾。
1955年に、その後の公民権運動の引き金となったモンゴメリーでの「バスボイコット事件」を記念した博物館。ローザ・パークスという黒人女性が、人種毎に規定したバスの座席ルールを無視して(正確にはルールは違反していないのですが)逮捕された、という事件。
ローザ・パークスさんは去年の10月に亡くなって、改めてまたこの事件、いろいろとメディアでも取り上げられていました。
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実際の逮捕の様子を再現した映像付展示で、一通りの流れが分かり、さらに、事件後、街の黒人が1年に渡ってバスをボイコットした経過・様子が展示されています。その統率にあたったのが、牧師としてモンゴメリーに赴任してきたばかりのMLKだったそう。それにしても見事に統率の取れたボイコット運動、不満の鬱積した人たちの静かな怒りを感じずにはいられません。
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ここで中学生位の女の子とご家族(白人)が熱心に展示に見入っていました。おそらく学校の授業で習ったかで、実際に見に来たんでしょうね。これ以外の公民権運動の拠点でも、こういったご家族、よく見かけました(黒人白人問わず)。

■セルマ(※)へ
モンゴメリーを後にした後は、高速を降りて国道80号線を1時間半、さらにさらに小さな街セルマへ。昔は綿花の栽培・積み出しの中心だったそう。道中、綿花畑が延々と続きます、もう刈り取られた後でしたが、綿花の花が一斉に咲く10月頃はとても綺麗なことでしょうに。
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街は本当に小さく、イメージしていた通りの、南部の寂れたスモールタウンだー!と興奮(?)。夕方の日差しが傾く中、宿の前には廃墟が寂しげに連なり、でも、その一方で街中は人の活動があって(古いDIY屋がその廃墟の並びにある)、夕方、家路を急ぐ人たちなどもいて、不思議な雰囲気の街でした。
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※ここはモンゴメリーと並び、公民権運動の盛り上がりの端緒となった場所。1964年に投票権法が成立してからも、黒人は実質的に投票できない(選挙人登録できない)ことに抗議が続いていたそう。ある時デモ参加者が警察に殺害されたことを契機に、州都モンゴメリーまでのデモ行進「自由の行進」(1965年)が企画され、ここセルマを出発。
しかし、セルマの街からモンゴメリーに向かう橋(エドムンド・ペタス橋↓)を渡ったところで、州警察が催涙ガスや警察犬を動員して実力で行進を阻止(「血の日曜日事件」)。
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この様がアメリカ全土にTV中継され、同じアメリカでこんなことが・・・と驚愕だったそう(この前のカトリーナみたい)。結局、連邦政府の介入でデモ行進は保護され、州都まで多くの人が行進したそう。

国立投票権博物館(セルマ)
アメリカ現代史シリーズ第3弾。
セルマ街中には、この「自由の行進」を記念する小さな博物館(National Voting Rights Museum and Institute)があり、この行進の前に先立つここの社会状況を含め、当時の状況を詳しく展示しています。これがわずか40年前のことなんて、、、とここでも改めて驚愕。

昨年2005年は投票権法施工の40年記念でもあったのですが、その記念日が8月6日、そう広島原爆の日と同じ。TVのニュースでは、まず「広島60周年」を報道し、それから「投票権法40周年」を報道していました。なんだ国内にあんな不正義を抱えながら、大義名分かざして原爆落としてったのね、と唖然としたものです。
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ここで説明してくれている地元の活動家のおじさん、実際に行進にも参加していたとのこと。有名な方らしい。この方が、もう、ものすごい熱弁で、当時のことを語ってくれます、ちょっと訛りが強かったけど。

さらに近くには、「奴隷博物館(Slavery & Civil War Museum)」、これ結構楽しみにしてたんだけど、閉館時間前なのに既に閉まってる・・・念のため電話してみたら、「今日はもう終わらせちゃった」だって。

ここを過ぎてもう少し先に行くと、「オールド・ディポ博物館(Old Depo Museum)」というのもあって、この周辺での綿花栽培の歴史とか、プランテーションの生活の状況とかいろいろ展示しています。しかしここ、受付前の時計がズレていたようで、行ったら「もう閉めるよ~」とのこと。
でも、とても親切なおじいさん&おばあさん、入場料は要らないからささっと見て行っていいよ、と中に入れてくれました。
このおばあさん、昔(おそらく戦後すぐ)横浜は山手に住んでいたことがあるそう、懐かしそうに日本語を話してくれました。こういうのなんだか嬉しいです、こんな田舎でも東洋人に親近感持っている人がいるんですから。
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さらに、この日の夜、ホテルのレストランが南部料理で有名らしいので夕食を楽しみにしていたんだけど、5時半すぎてもレストランに電気が付いてない。今日は何時に開くの?とフロントに聞くと、「何時だっけ?」「何時だったかしら?」と受付のお姉さん2人、結局、奥へ聞きに行きました。戻ってきたら「今日はやらないんだってー」。おーいー、呑気なんだからもう。

お食事編はこちら、、、
# by NCTerryy | 2006-04-22 03:00 | Deep South編(0512)

ディープサウス紀行(アトランタ2日目)

CNNセンター
お約束のCNNのスタジオツアー。なんだか楽しそうだし、CNNってなんだかんだいってよく見てるし、と行ってみました。入場料の割りにあまり展示がフレッシュじゃない(固定展示が主)のがやや不満でしたが、でも結構楽しい。
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毎朝見るヘッドラインニュースのキャスター(Robin Meade)が見れないか、と思って朝一番の時間を予約して行ったけど、彼女は休日はお休み。でも、他にもよく見るキャスターが、フレンドリーに手を振ってくれてミーハーにも大喜び。

さらに、隣のスタジオにいたスポーツキャスター、われわれは勝手に「新二」(ちょっとだけ谷村新二似)と呼んでいるので、「新二だ!新二だ!」と声に出して喜んでいたら、同じツアーグループに日本人の方もいたのを後から認識。はっずかしー。

Martin Luther King Jr. National Historic Site
アメリカ現代史シリーズ第1弾。
公民権運動をリードしたマーチン・ルーサー・キングJr.牧師(MLK)の生誕地と、後に暗殺された彼の遺体を埋葬している所。1960年代にかけて黒人コミュニティとしてとても栄えたAuburn Ave.というエリアにあるのだけど、今はかなり荒廃が進んで、国の管理する区画以外は相当まずーい感じ。
MLK、今回聴講で詳しく知るまでは、その名前と役割をさらっと知るぐらい。あるいは、昔Vowで見た誤植ネタくらい(Martin Luther King Jr.→マーチン・ルーサー王子、って誤訳されてた)。

しかしその役割を知るにつれ、「非暴力・不服従」を早い段階から進め、精神的に運動を指導していった彼の役割には、一言すごいと。相当にひどい差別を受けてきていたのですから、差別解消、といったらそれまでの反動で容易に感情的に走ってしまいそうなのが人情というもの(それを批判するのは容易ですが)。しかし、差別の敵は白人ではなく社会的不正義(Social Injustice)だ、と精神的に牽引した彼の存在は最大限の効果を得る上で本当に貴重だったに違いない(こういった哲学のなかった北部都市部での公民権運動では暴力が多発、状況改善には時間を要したそう)。
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ここの展示、経年で展示してあって、それぞれビデオでの解説も付くのでとても分かりやすい。
そして、驚きの展示物が「選挙人登録を認めるかどうかをテストする機械」。瓶に入ったキャンディーが何個あるか予想して、その数をテンキーで打ち、最後に「白人」「黒人」それぞれのボタンを押してエンター。そうすると、白人の場合は「Yes」、黒人の場合は「No」と自動的に回答が出るもの。笑っちゃう位インチキ極まりないです、これ。
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こういった状況がわずか40年前まで続いていたなんて、、、やっぱり愕然です。

Atlanta History Center
アトランタの歴史、それから南部邸宅を保存して公開している「Atlanta History Center」。ダウンタウンから北へ20分ほどのバックヘッドエリア。ダウンタウンと違った雰囲気でWhole Foodsもあるし、所得水準高そう。

歴史博物館は、そんなアトランタの都市の形成が分かっておもしろい(もう少し詳しいと良いのだけど)。それから敷地内にある「スワンハウス」、20世紀初頭にお金持ちの建てた豪邸を譲り受けて展示してるもの。古風な外観ながら内装はモダンだったり、アジアンだったり、といろいろ折衷で、おもしろい(ちょっとばかし成金趣味っぽいけど)。
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しかしここの庭園、丘の斜面を利用して、階段状の噴水や、円形のお庭などが配置され、とても変化に富んだ綺麗なお庭でした。さらにお屋敷地下には、陶器展示コーナーがあり、世界各地の産地の陶器コレクションが展示されています。規模は小さいながらも充実していて、動物フィギュアなどの面白系から、トラディショナルな古伊万里に有田なども。これはなかなか面白い、とても楽しめました。
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# by NCTerryy | 2006-04-22 02:59 | Deep South編(0512)

ディープサウス紀行(ミシシッピー横断編)

アラバマはセルマを後にし、お隣の州ミシシッピーへ。
セルマから西に向けて、下道(国道)を暫く進みます。ここも相変わらず綿花畑。途中から大きな池が増え始め、「もしかして・・・」と思っていると、やっぱり「ナマズの養殖池」!綿花畑として利用していた土地がやせ細ると、それをナマズ養殖池に転用することが多いそうで、今では一大産業に育っているそう。

ナマズのお食事風景(!)なんか見れないかしら・・・と期待しましたが、どこに立ち寄ってよいものか分からず、そのまま通過してしまいました。後日調べてみると、ベルゾーニという街が「ナマズ首都」を自称し、博物館があったり、池の見学が出来たらしい。。。

旅程上、ニューオリンズにも近づいたのですが、呑気なおのぼりさんが行くには時期尚早、と見送り。そして、ミシシッピ川を見る!という目標だけは果たすべく、ミシシッピ川沿いの綿花積出拠点として栄えたナッチェス(Natchez)という街を目的地にしました。

■ナッチェスお屋敷巡り
綿花積み出しの拠点として、それから、ミシシッピ流域のプランテーション・オーナー(=プランター)の住む街として栄えたナッチェス。
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ダウンタウンや郊外には、大きなお屋敷が残り、多くが一般公開されていますし、高級B&Bになっているものもあるそうです。お屋敷巡りツアーもあり、バスに乗って1時間で50軒(!)見て回るんですって。量で勝負のようです。
そんなお金持ちのお家、所有していたプランテーションは別の場所にあるので、お屋敷の敷地自体はそれほど広大ではありませんが(サウスカロライナは広かったです)、でもお屋敷は十分すぎるほどに広いです。

□Longwood(ロングウッド)
珍しい八角形の形をしたお屋敷です。なかなかユニーク、ぱっと見、なんとなくオリエンタルな雰囲気も無いでもない。
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1階部分のみ居住エリアとして完成していて、それ以上は内装が出来ないまま、今日に至っているそう。しかしここ、1階部分は普通のお家なのですが、あまり日当たりも良くなくて(計画時点では上の階から天窓で採光する予定だったそう)、ここにずっと普通に人が住んでいた(しかも80年代まで)とは驚きです。
2階以上は、おもしろいことに吹き抜けで、まだ木材を組んだのがそのまま露出しています。これは今後も、完成させることなく、このままの状況で保存・展示していくそうで。

□Melrose(メルローズ)
国定の歴史公園(National Historic Park)として管理・保存されているこのお屋敷。自分がいかに豊か、を誇示することを第一に作られた客間。奴隷の使用人を呼ぶための、部屋毎(家族のメンバー毎)の呼び鈴。食事中にハエをテーブルから追い払うための、手動(もちろん奴隷さんの手による)扇風機等々。
これらを、ナショナルパークのレンジャーさんが、この家の家族の歴史を含め、熱を込めて説明してくれます。とても熱く語ってくれる、家族の悲劇の物語、じーんときちゃいます。
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それにしても、ナショナルパークのレンジャーさん。もし私がアメリカで子供時代を過ごしていたら、絶対憧れナンバーワンの職業だったに違いない、と思います。物知りだし、どんな下らない質問にも嫌な顔せず答えてくれるし、職場の雰囲気も楽しそうだし(?)。

■ミシシッピ川
そうしてミシシッピ州を横断したこの日の旅程、最後はミシシッピ川を渡り、対岸のルイジアナへ上陸。
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ゆっくりと流れる大河、こんな川を毎日目にしてたら、絶対大らかに育つよね、と勝手なミシシッピ/ルイジアナ人像を描きながら、本日は終了。

お食事編はこちら、、、
# by NCTerryy | 2006-04-22 02:58 | Deep South編(0512)

ディープサウス紀行(ミシシッピー北上編)

■ナッチェスパークウェイ
ナッチェスを後にして、次は一路、北に進路をとり、テネシー州メンフィスを目指します。インターステートを使って、ピューっと行っちゃうのも手なのですが、昔のナッチェス族の使っていた旧街道の跡を道路にしたという「ナッチェス・トレース・パークウェイ」という自動車専用道路がなかなか良さそう。
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街道沿い、ところどころに先住民族の生活のなごり、そして入植後の人の行き来の跡が見られます。あまりに光景が変わらないのでちょっと眠くなりましたが、とても快適なドライブでした(NCで言うとBlue Ridge Parkwayのような雰囲気です)。

□エメラルドマウンド
ナッチェス族の古墳だそう。日本の古墳にもこんな形のものがありそう。土台部分の上に、さらに盛り土されて、かなりの高さに積み上げられています。それにとても広い。これ、新緑の綺麗な時期にきたら、本当にエメラルドなんでしょうね。
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写真手前が最も高いお墓の上、写真奥はこの古墳の土台部分(かなり広い平面)。

□ロッキースプリングス
綿花栽培の集落として栄えた町が、結局、表土の流出で今は廃墟になってしまっているという街の跡。
立派な教会だけが残り、後は本当、見事に何にも残っていません。街だったエリアは既に木が生い茂って林になり、商店で使っていた(らしい)という扉の取れた金庫だけが、林の中にぽつーんと残っているだけです。
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それなりに人口もあった街だったのに、すっかり今は廃墟。人が生活して作っていたものも、いとも簡単に壊れていってしまうのね、人間の夢の跡ね、と物寂しさの漂う場所でした。

□サイプレス・スワンプ
今回の南部旅行、真っ先に「行こう」と決まっていたのが、ここサイプレス・スワンプ(とアトランタ水族館)。何かの写真で見た、一面緑の沼に大木がニョキニョキと生えているという奇観。この目で見てみたいと、わざわざ遠回りをして行ってみました。
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思ったよりも小さな沼でしたが、しかし、本当に水が緑なんです。水草が表面を覆い、お抹茶を溶かしたかのような色。そこにイトスギの大木が、何かに搾り取られたかのような、乾いた幹をさらして立っています。

本当に不思議。。。これは見に来てよかった、と思いました。カメラの調子が悪くて、コントラストをもっとはっきりさせた写真が撮れなかったのが残念です。

お食事編はこちら、、、
# by NCTerryy | 2006-04-22 02:57 | Deep South編(0512)

ディープサウス紀行(メンフィス)

ナッチェスから北をめざすこと約5時間、テネシー州メンフィスに到着です。ここまで来ると、後はもうI-40でお家に戻るだけ、という感じで、随分と身近な場所に戻ってきた感があります。
メンフィスでは、今までで最安値の1泊31ドルの宿。あんまり長居はしたくないお部屋ではありましたが、ダウンタウンにはとても近くて便利便利。翌朝、明るくなって周りを見ると、隣にはこんなナイスな廃墟も。
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■ビール通り(Beale Street)でブルース堪能
着いた晩は、夕食とブルースをめざしてメンフィス・ダウンタウンへ。こちらはおのぼりさん、分かりやすさ一番ということで向かったのが「B.B.King Blues Club」。分かりやすーい。

ライブの始まる直前に入ったら、もう既にほぼ満席。かろうじて席を確保。そして、じゃーん、とバンドの皆さん登場です。
ブルースなぞ私らは素人、知ってるのは有名な曲、それにBlues Brothersで出てくる曲くらい。でも、ジャズよりもブルースのほうが分かりやすい、というか、ノリがいいので結構好き。私、疲労困憊だったのに、演奏始まったらすっごい楽しくて、特にKool&theGangの「Celebration」(古っ!)には一緒になって「ひゃー!ほー!」と歌っちゃったりなんかして、思いっきり楽しんでしまいました。

メンフィスの街は、再開発もかなり進んでいて整っていますし、夜も人通りが多くて活気があって、なかなか楽しい雰囲気の街でした。

「国立公民権博物館」
アメリカ現代史シリーズ第4弾。
そして翌日、MLKが暗殺されたロレイン・モーテル跡地にある「国立公民権博物館」へ。現代史シリーズ、ついにここに完結です。今回の現代史シリーズ、ここが一番充実していました。これまでたくさん見てきたから、ここは簡単に見ればいっか、、、と思っていた我々も、気がついたら3時間近くいましたから。

ここの展示は、人種種差別に限らず性差別等の問題も扱っていて、公民権問題=人種問題となりがちな点にも配慮してる感じ。さらに他の博物館と違うのが、南部州での活動だけでなく、北部での公民権活動についてもかなり展示されており、シカゴなど北部での公民権活動などもよく分かります。

南部での公民権活動を一通り率いた後、MLKはシカゴ都市部での公民権活動を指導すべく家族で移ったそうですが、しかしここでは「白人vs黒人」の構造のように単純ではなく、移民コミュニティなど多くのマイノリティが混在し、さらに、それまでに差別を不満とする暴力・暴動がかなり繰り広げられていたので、MLKの哲学もここではその役割を果たすことができなかったらしい。
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そして、メンフィスでのゴミ収集者のデモ(白人と黒人の給与処遇の格差への抗議)を支援するために訪れていたMLK、1968年に暗殺されてしまいました。
暗殺される前日の、それを予知していたともとれるような、「I've Been to the Mountaintop」の演説(最後のパラグラフが有名)。崇高な想いを抱き、将来を希望しながらも、しかし達観したその心境、やるせなく響きます。

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この後、本当は「マッドアイランド・パーク」なる、ミシシッピ川の中洲の公園に行くつもりだったのが、なんと冬期は休業とのこと。モノレール乗り場まで行って初めて気づき、がっくし。
ここ、John Grishamの「The Firm」(映画版)で、トム・クルーズが追手を逃れてモノレールで逃げる、というシーンがあった場所。見てみたかったなぁー。

思い返してみると、私の南部についてのイメージって、John Grishamの小説から受けた印象も結構あるのかも。メンフィスにニューオリンズ等々、南部の街いっぱい出てきますから。特に最近読んだ「The Last Juror」は、ミシシッピーの小さな街Clantonを舞台にしてて(ちなみに第1作「A time to kill」もここが舞台)、南部の小さい街の雰囲気が出ていてとてもおもしろかった。

そして、休業中の寂しいマッドアイランド・パークを後に、せっかくだからとミシシッピ川を渡り、アーカンソーにちょこっとだけ上陸。これで一応、南部州といわれる州は今回全て制覇!それから東へ、と家路につきました(ってまだ2日あるのですが)。
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お食事編はこちら、、、
# by NCTerryy | 2006-04-22 02:56 | Deep South編(0512)